監督からのコメント


 

 「人間はいったいどう生きるべきなのか」

 バブル経済に浮かれていた日本を飛び出し、そんなことを考えながら世界を旅して辿り着いたのが日米戦最後の激戦地、フィリピン・ルソン島北部山岳地帯でした。そこで約100年前に渡った日本の出稼ぎ労働者の子孫と、イゴロットと呼ばれる山岳先住民に出会いました。


 世界中の人間は地球の恵み=生き物たちの命をもらって生きています。地球が人間を生かせてくれる。人間は誰でも生きていていいんです。何かをしなくて生きていていいんです。地球=生物たちが生かさせてくれるんです。山の人々の生活を見て僕はこれでいいんだと思いました。


 「人間が地球で生きてるってどういうことだったのか」そんなことを想わせてくれる映画が出来ればと思い、7年粘って完成させました。日系フィリピン人出稼ぎ家族の映画であり、途上国先住民の物語です。人間は進歩発展を追いかけて随分と遠くに来てしまいました。そろそろ帰らないといけません。この映画は「里帰り」映画でもあります。どうか観た皆さんひとりひとりが、思い思いに感じ発見する映画会になったらいいと願っています。

 

★今泉 光司(脚本・製作・監督) 
http://diary.jp.aol.com/jrwrqdrra/
1959年東京出身。日本大学芸術学部映画学科卒業。
PR広告、映画、ビデオの脚本・演出家を経て映画監督小栗康平の助監督を務める。
92年に初めてフィリピンのバギオを訪れ、それ以来、キドラット・タヒミック等の
フィリピンの映画人との交流を続けてきた。
96年より生活の拠点をバギオに移し本格的に「アボン/小さい家」企画に取り組んだ。